南関素麺の歴史
南関そうめんの歴史は、300年とも250年とも言われ、詩人の北原白秋も好んだといわれています。
このそうめんは、茹でても延びないほどの腰の強さと、シコシコした歯ざわりが特徴です。
江戸時代には、当時の肥後藩主が参勤交代の際には、肥後の土産として必ずこのそうめんを
将軍家に献上されていたといいます。
明治中期には200を超える製麺所があり、すだれのように素麺を延ばした光景が多く見られたそうです。
現在では10軒の製麺所が昔と変わらぬ手法で完全手作りの南関素麺を作り上げています。
100%手作りの為、各製麺所ごとにそれぞれ特徴を持った味となっています。
また生産量も大変少なく、高価な素麺として知られています。
歌聖 北原白秋が歌ったものに、
『手打ち素麺戸ごと掛けなめ日ざかりや関のおもてはしずけかりに』
『掛けなめて玉名乙女がすきのばす扇そうめんはながき白糸』
とあります。
南関素麺ができるまで
南関素麺製造本舗 綾田製麺所作りは前日の作業から始まります。
第一の作業は塩水をつくることから始めます。
まず翌日の天気や気温を予報で確認し、
塩水を作りその後、第一工程の手で捏ねる作業に入ります。
小麦粉を捏ねるときはなるべく水分量を少なくするために
少しづつ塩水を加えながら捏ねていきます。
捏ね終えたら、約2時間ほど寝かせます。
寝かせ終えたら、第二の工程の踏み込み作業に入ります。
約30分ほどかけて捏ねた団子を踏み込みます。
踏み込み作業を終えたら、桶に入れ表面が乾かないように
油を塗りビニールでふたをして布団を被せて翌朝まで
寝かせます。
翌朝からは、第三の工程の作業から入ります。
延べ板の上に寝かせておいた団子を出して、厚さ2~3cmになる位まで延べ棒で広げます。
それを外からうず巻き状に切り込み、切ったら均等の幅で丸く延ばし中心に渦を巻くように
桶の中に入れていきます。
全部入れ終えたら、乾燥しないようにビニールを被せてまたしばらく寝かます。
この作業を小指の太さになるぐらいまで行います。
その後、第4の工程の掛け作業に入っていきます。
掛け作業は、2本の棒に両手で麺をこすりながら細さを調整していき八の字に掛けていく作業になります。
この作業が一番作業時間が長い作業となり、全て掛け終わるまで約5~6時間かかります。
掛け終わったら小引きといって八の字に掛けた麺を少し引き伸ばして寝かせます。
この作業は、いきなり麺を延ばしても伸びてくれないため、一旦少し引いとくことで伸びがきて、
次の作業をスムーズ進めるために行います。
寝かせ終えたら、作業工程一番の山場である延ばしの作業に入ります。
この延ばしの作業は熟練の勘と手法で、その時の気温・湿度、麺の固さで
力加減を考えながら延ばしていきます。
延ばしの作業は、2本の棒を使って約2.6~2.7m程の長さまで延ばしていきます。
この時完全に乾かさず、最後の工程の束ね作業の為に麺を半乾きの状態にしておきます。
延ばし作業を終えたら、南関素麺独特の
曲げ作業(束ねる作業)に入ります。
曲げ姿にする為に曲げワクという道具を使って
1束づつ曲げて束ねていきます。
一束当たりの重さは約45~50グラムになります。
束ねた素麺は、晴天の日に3~4日ほどかけて
完全に乾燥させます。
その後、乾燥させた素麺は袋詰めおよび箱詰め
および包装の作業を経て商品としてお客様の
手元に届くようになります。